注入同期と逓倍注入同期(サブハーモニック注入同期)

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注入同期 (injection locking) とは

注入同期とは、ある発振器に外部の信号を加えることで、発振器の周波数と位相を外部信号に同期させる現象です。

発振器の固有周波数を f0f_0、外部の信号の周波数を f1f_1 とします。この時、2つが十分に近い時、すなわち f0f1f_0 \approx f_1 である時に発振器は外部信号の周波数と位相に引き込まれ、周波数と位相が同期されます。

注入同期は自然界でも見られる現象であり、例えばメトロノームが同期する現象やホタルの光が揃う現象、ニューロンの同時発火等があります。

メトロノームの同期現象は実際に見ると分かりやすいです。spontaneous synchronization - YouTube

注入同期の画像

逓倍注入同期 (Sub-harmonic injection locking)とは

日本語では逓倍注入同期(ていばいちゅうにゅうどうき)やサブハーモニック注入同期と呼ばれています。

注入同期の特殊な現象である。発振器の固有周波数を f0f_0 とした時、 f1f0f_1 \approx f_0 の外部信号を使うのが注入同期であった。 逓倍注入同期ではその2倍の周波数である 2f12f_1 の周波数の外部信号を使う。そして f1f_1 に同期する現象である。

同期する時、位相が0度ずれたもの、すなわち完全一致での同期と、180度ずれた状態での同期の2種類の同期が現れる。

逓倍注入同期の画像

参考文献

Tianshi Wang "Sub-harmonic Injection Locking in Metronomes" arXiv:1709.03886 (2017). https://arxiv.org/abs/1709.03886

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お茶の葉

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